H30年3月手術まとめ
今月はたくさん手術したなと数えてみたら、3月の手術件数は42件でした。
腱鞘切開は同時に2本、3本している症例もあったり、足首は2本の骨を同時に固定したりしているので、実際はもっとあるのですが、カウントの仕方に一定のルールを設けないと、比較しにくいため1件にしています。
両膝や両手同時手術は2件でカウントしています。
外傷の処置や単純な縫合は、手術にカウントしていません。
全身麻酔手術 29件
人工膝関節全置換術(TKA) 2件
人工膝関節単顆置換術 (UKA)1件
人工股関節再置換術 (THArevision)1件
高位脛骨骨切り術(HTO)1件
膝関節鏡視下半月板部分切除 9件
骨接合 6件(大腿骨1、脛骨1、足関節(脛骨・腓骨)1 上腕骨 1 橈骨1 踵骨1)
抜釘 6件(中手骨1、膝蓋骨、橈骨、脛骨2、足関節(脛骨・腓骨)1)
滑膜切除(人工関節後) 1件
関節授動術 1件
腫瘍切除 1件
局所麻酔手術 13件
腱鞘切開 9件
手根管開放術 2件
骨部分切除(関節内骨片摘出) 1件
腫瘍切除 1件
抜釘(ばってい)とは、骨折手術で用いたプレートやスクリューを、骨癒合後に外す手術です。
骨膜や骨髄内には痛覚があるので、食い込んだスクリューをを取ることは、局所麻酔では難しいです。
大病院のような看板がない個人診療所で手術を受けていただけるのは、大変光栄なことです。
50代男性足関節靭帯修復術
足の捻挫は非常に数か多く、多い日は一日で3~4人くることもあります。
痛みや腫れの程度で、湿布のみ、サポーター、ギプス固定+両松葉杖等の選択枝があります。
ほとんどの方が、保存治療で完治します。
しかし保存治療後に高度な不安定性が残存する場合は手術が必要になります。
50代男性保存治療で治癒せず靭帯修復術を行った症例です。

左手の鉗子で持っているのが断裂した靭帯です。

靭帯を本来の位置まで引っ張っています。

二つの筋鈎の間に、本来の付着部である骨に縫い付けた靭帯です。
修復した靭帯の真ん中に黒い点のようなものが見えます。
これは下の図のように、本来の靭帯付着部の骨に特殊な糸を打ち込んで、
それを用いて切れた断裂を本来の付着部に縫い付けた部分です。
以前はワイヤーで穴を空けたり、随分と手間をかけて糸を通したりしていましたが、
便利な器具ができると、手術が容易となるだけでなく、患者さんへの侵襲が小さくなります。
この症例の場合は、靭帯が残存していましたが、靭帯が萎縮・消失している場合は、
他の部位から腱を持ってくる靭帯再建術が必要になります。
10代中手骨骨折手術
ブログに手術症例を出すと書いておきながら、1か月以上すぎてしまいました。
実際載せるとなると、少ない写真と短い文章で誤解なく伝える必要があり、慎重になってしまいます。
比較的分かりやすい骨折症例を提示することにします。
次の写真は10代男性、スポーツによる第3中手骨骨折です。
中手骨は掌の部分の骨だと思ってください。
どこが折れているか分かると思います。
ズレがなければギプスで良いのですが、この症例は短縮しています。
放置やギプスでも骨癒合はしますが、変形が残存します。
この部位の変形は、最悪の場合、手を握ったときに中指が他の指に重なってしまいます。
超高齢者や認知症でもない限り手術適応です。
手術の選択は主に3つあります。
①骨折部を完全に展開してプレートとスクリューで固定
②中手骨の根本の部分に1㎝の切開を加えてワイヤーを骨髄内に入れて固定
③切開せずに、レントゲン透視下に整復して皮膚ごしにワイヤーで固定。ワイヤーの根本は皮膚外に出しておく
それぞれに一長一短があり、骨折型、年齢、活動性、麻酔法により選択されます。
今回は②の方法で行いました。傷は小さく、固定性は強固です。
2本の中空の筒を縦に繋いで、中に固くい太い芯を入れるイメージです。
ワイヤーはすべて骨内と皮下に入っているため、抜糸後は手を自由に使えます。
欠点はワイヤーの選択、先端の曲げ方、打ち込む角度と強さ、ワイヤーの曲がりを利用した中からの整復等、
結構テクニックが必要なことです。
テクニックがなければ、髄内に入っていかないワイヤーと格闘し続け、いくら時間をかけても手術が終わりません。
術後2カ月の写真です。十分な骨癒合を得られ、手に衝撃のかかるスポーツ活動も許可しました。
ワイヤー抜去はいつでも良いので、学生さんの場合夏休み等休みが取れるとき、スポーツ選手の場合シーズンOFFで大丈夫です。
シンプルな指の骨折なのに、こんなに長い文章を書いてしまいました!!
西都児湯医療センターからの手術見学
3/8西都児湯医療センターの手術部の看護師さん3名が当院に見学にこられました。
西都児湯医療センターでは、近々整形外科が開設されます。
現在は、脳神経外科と呼吸器内科による手術がされていますが、
整形外科手術開始に備えて勉強したいとこられました。
この日は、午前は80代女性の大腿骨の骨折、午後は60代女性の人工関節関連手術でした。
レントゲン透視下での操作、ハンマー、ドリルでの骨孔作成、スクリューでの固定等、
整形外科らしい手術をお見せできたのではないかと思います。
お役に立てれば何よりです。
H30年1月手術まとめ
手術実績はHPに出していますが、人工関節、関節鏡手術と一言で言ってもいろいろあるので、H30 年1月分の手術34件を細かく分けてみました。
一般の方がみても、「なにこれ?」っと思われると思いますが。
全身麻酔手術 26件
人工膝関節全置換術(TKA) 7件
人工膝関節単顆置換術(UKA) 4件
人工股関節全置換術(THA) 1件
関節鏡下半月板切除 6件
関節鏡下半月板縫合術 2件
骨接合(中手骨×2 上腕骨×2 足関節×1 橈骨×1) 6件
局所麻酔手術 8件
手根管開放術 1件
アキレス腱縫合術 2件
腱鞘切開術 4件
指末節骨骨部分切除 1件
最先端の手術手技の提供
整形外科医療の最新情報は、東京や福岡の研修会・勉強会に参加してなんとかなりますが、
開業すると、どうしても新しい手術手技に触れる機会がなくなってしまいます。
当院では、積極的に外部のスペシャリストを招いて手術を行ったり、
スペシャリストの病院で丸一日実技指導を受けることによって、常に最新の手術手技を提供できるようにしています。

2017.10.17東京女子医科大学教授 岡崎賢先生を招いて、二重束前十字靭帯再建術を施行

2017.11.15秋山クリニック院長 秋山武徳先生よりⅾouble level osteotomy(大腿骨・脛骨同時骨切りによるO脚矯正)の実技指導を受ける。
半月板損傷
当院で最も多い手術が、半月板損傷(断裂)に対して行う関節鏡下半月板部分切除術です。
H29年が60膝でしたので、週に一膝以上行っている計算になります。
最近はインターネットでなんでも調べられるようになっています、細かい説明はWikipedia等に譲ります
【発症】
若い人は、ほぼ外傷が原因。
中高年(40歳以降)は少し捻ったり、長く歩いたり、勢いよく立ち上がったり、バランスを崩すだけでも損傷を起こすことがある。
【痛み】
断裂の形態により、捻ったり深く曲げたときだけ痛い場合から、膝を動かせないほどの激痛まで様々です。
受傷後数日が疼痛のピークで、それ以降は気を付けて歩けば痛みは少ないことが多い。
あぐらがかけない。寝返りで痛い。正座不能。
いつまでも経っても(数カ月)治らない。そして治る気がしない。
【診察・検査】
問診後に疼痛部位を確認し診察を行います。
X線検査で下肢のバランス、変形の程度などの評価を行い、それを元にさらに詳しい診察を行います。
半月板損傷を疑った場合、MRI検査を行います。
【治療】
確定診断がつけば、麻酔下に半月板切除もしくは縫合術を行います。
手術時間は切除術で約15~20分。縫合術が30~60分となります。
入院期間は切除術の場合は1週間、縫合術の場合は2~4週となります。
半月板損傷はX線では映りませんので、正確な診察をしないと、膝の変形や単なる使い過ぎと診断されることがあります。
その場合、ヒアルロン酸を延々と関節に打ち続けたり、湿布だけで様子をみられることがあります。
半月板は極めて治癒力に乏しく、自然治癒するのは、ごくごく一部のケースのみです。
「治らない膝の痛み」だけでも、半月板損傷の疑いがあります。
お困りであれば、是非当院へお越しください。
ブログはじめました
2018.2.1HP刷新しました。
はじめまして。岡本健太郎です。
自己紹介はHPに載せていますので、このブログは手術症例を載せていこうと思います。
また知って得する整形外科トリビアも、気のむくままに書いていきます。
私事も見苦しくない程度に載っているかもしれません。
それでは、よろしくお付き合いください。