岡本整形外科 副院長診療ブログ

病院を外から眺めても、どんな医師がいるのか、どんな治療をしているのか、わかるはずもありません。骨折・脱臼などの外傷や、関節の変形による痛みに対して、当院での手術例を中心にご紹介します。また整形外科トリビアも気の向くままに書いていきます。

2018年救急車受け入れ件数

当院では積極的に救急車の受け入れを行っています。

 

H30年1月~H30年12月

総受け入れ件数116件

入院となったもの(当日or後日手術目的での入院)

36件

手術となったもの

20件

 

昨年は月当たり約10台が当院へ搬送されています。

最近はベッドが満床のことが多く、入院の可能性がある患者さんの救急搬送を

断わることが増えています。

今年は減るかもしれません。

後十字靭帯再建術

20代男性の後十字靭帯再建術を東京女子医科大学整形外科教授 岡崎賢先生を

お招きして行いました。

後十字靭帯断裂の単独再建術は、前十字靭帯再建術より圧倒的に少ないです。

整形外科手術を年間1000件行っている大病院で

年に1件あるかないか?というぐらいです。

再建用の靭帯を採取します。

長さ28cmの靭帯を採取。削ぐように採取するので膝機能への影響はほとんどありません。

後十字靭帯は太いので4重折にして使用します。

膝関節鏡と、レントゲンイメージを同時に使用します。

後十字靭帯の脛骨(すねの骨)付着部は膝の真後ろにあり狭いスペースでの作業となります。

膝関節鏡手術の中では、最も難易度の高い手術と言えるでしょう。

術後の経過は良好です。

熊本医療センター 手術研修

1/17は国立病院機構 熊本医療センターに行ってきました。

人工関節手術を多くしていると、人工関節メーカーさんより手術見学の招待を受けることがあります。

今回は、当院で行っているALSTHA(前側方進入人工股関節全置換術)を多くされている、

福元哲也先生の手術を見学させていただきました。

THAは通常医師2~3人で行う手術ですが、私同様、福元先生もほぼ一人でされています。

股関節解剖を熟知されており、わずかな肢位の変化でどこの筋肉の緊張がゆるみ、

レトラクター(組織をよける道具)をどうかけるか等、解説を受けました。

当院ではレトラクターを専用器具で強固に固定しますが、福元先生は写真のように

シーツにつけた鉗子(はさむ道具)に輪ゴムとS字フックをつけてレトラクターを

柔らかく引いています。

簡単にまねできるテクニックではありませんが、大変勉強になりました。

自院に引きこもらず、今後も外に勉強にいきます。

2018年手術件数

2018年1月~12月までの手術件数

全手術数389件

(全身麻酔手術295件 局所麻酔手術94件)

 

主な手術

人工関節(人工股関節・人工膝関節等)89件

関節鏡手術(半月板切除・半月板縫合・前十字靭帯再建・矯正骨切り術等)99件

骨折手術49件

 

局所麻酔手術は、腱鞘切開術・手根管開放術・アキレス腱縫合術などです。

包丁で指を切る等の外傷処置は手術にカウントしていません。

両側同時手術のみ2件でカウントしています。

骨折は手首の橈骨・尺骨、足関節の脛骨・腓骨の骨折は2本同時に行っても1件でカウントしています。

腱鞘切開は同側であれば2~3本同時でも1件でカウントしているので、実際はもう少し多くなりますが、

今までずっとこの数え方なので、このままでいきます。

 

増築完了しました

今年の6月から続いていた増築が終了しました。

●エレベーター設置

今まで1F⇔2F移動は階段か、スロープでした。

リハビリ室への直通となったので、入院患者さんが、

混雑した外来や廊下を通って移動する必要がなくなりました。

●個室

個室の割合を増やしたので、性別によって入院ができない

(男性大部屋が空いていても女性部屋に空きがない等)が

少なくなります。

●食堂

古くなっていた調理器具等一新しました。食堂が広くなり、

入院患者さんがゆったりくつろげるスペースができました。

●2Fテラス

今まで洗濯物を干すだけでしたが、入院患者さんが

くつろげるスペースに変わりました。

●リハビリ室

6人の理学療法士(PT)・作業療法士(OT)が十分なスペースを使って

リハビリができるようになりました。

増築により取り壊される壁に描かれた、スタッフによる力作です。

 

 

市立青葉病院での手術研修

11/22は人工関節メーカーさんの招待で千葉県に行ってきました。

人工股関節の前方アプローチ(DAA)の第一人者の一人である、

千葉市立青葉病院の整形外科部長 渡邉仁司先生のもとで研修を受けてきました。

私が現在行っている前側方アプローチ(ALS)よりさらに内側から進入する方法です。

 

強力な牽引器で足を牽引し、股関節にスペースを作り、流れるように手術が進みます。

この牽引器は好きな位置で肢位を固定できるのも魅力です。

DAAとALSは、それぞれ一長一短があるので、どちらが優れているというわけではありませんが、

同じ前方系の進入法なので手術操作に共通点が多くあります。

匠の技、工夫をたくさん吸収させていただきました。

 

術後はディスカッションの場を設けてもらい、より理解が深まりました。

有意義な一日でした。

2018年10月手術実績

10月の手術件数は38件でした。

全身麻酔手術30件

人工膝関節置換術 6件

人工膝関節単顆置換術 1件

人工股関節全置換術 1件

膝前十字靭帯再建術 1件

高位脛骨骨切り術 1件

関節鏡下半月板手術 11件

骨接合術 3件

関節固定術(手)+腱移行術 1件

化膿性関節炎手術 2件

抜釘術3件

局所麻酔手術 8件

腱鞘切開術 6件

手根管開放術 2件

 

この月は、人工膝と関節鏡手術が多く、人工股関節と骨折手術が少なかったです。

8月は人工股関節7件に対し人工膝関節1件と、ほぼ逆でした。

スタッフと、今月は〇〇が多いね等雑談しますが、たまたまなのでしょう。

 

膝半月板損傷

今月は、半月板損傷の部分切除、前十字靭帯再建、矯正骨切り術など

膝関節鏡手術だけで13件ありました。

以前も紹介しましたが、当院で最も多い手術である

関節鏡下内側半月板部分切除の動画を供覧します。

今月あった半月板損傷手術のなかで、最もわかりやすい症例だったので、

患者さんの了解を得てブログに載せさせてもらいました。

 

50代男性の内側半月板損傷です。

V0008

画面上の丸い部分が、大腿骨の関節面、画面下が脛骨(すねの骨)の関節面、

間にあるものが、断裂した半月板です。先端の丸い金属のフックで引っ掛かりを確認します。

V0009

吸引しながら、シェーバーという器械で傷んだ部分を削ります。

このあと、パンチという半月板を削りとり道具で形を整えます。

V0011

フックで引っ掛かりがなくなったことを確認します。

 

手術は1cm以下の傷2カ所から、カメラと手術器具を挿入し15分程度で終わります。

この患者さんの術前の痛みは、直後より劇的に改善しました。

 

半月板は、断裂の形(縦断裂・横断裂・水平断裂等)によって痛み方はまちまちです。

しかし共通することは、保存治療(リハビリや薬物療法)がほぼ無効だということです。

半月板は血流が極めて乏しいため、自然治癒が期待できません。

前医で、数カ月にわたってリハビリ、湿布、ヒアルロン酸の注射を行っても改善しないと

当院を受診する方がたくさんいらっしゃいます。

気になる方は、診察にこられてください。

足関節粉砕骨折

当院では、年間100台ほどの救急車を受け入れています。

激しい骨折であっても対応できることが救急隊に認識されてきたようで、

手や足が腫れて変形している、「明らかに折れている」方の搬送が増えてきました。

 

本日紹介するのは40代男性の足関節粉砕骨折です。

関節面がバラバラに粉砕しています。

3か所から骨折部を展開し、関節面を整復してからロッキングプレートで固定します。

術前

術後

かなり難易度が高い手術ですが、関節面が綺麗に整復できています。

最近は、部位ごとに専用のロッキングプレート(プレートとスクリューがロックして緩まない)が

あるため、関節内の粉砕骨折であっても強固な固定ができるようになりました。

強固に固定できれば、早期の関節運動や荷重が可能となります。

獅子目整形外科病院より手術見学

当院ではH30年4月より、人工股関節置換術の前方進入法(ALS)を導入しています。

人工股関節の構造的宿命といえる脱臼リスクを、劇的に減らす進入法です。

先日、宮崎市島之内の獅子目整形外科病院院長 獅子目亨先生が当院のALSの見学にこられました。

獅子目先生は私と年が近く、境遇も似ており(個人病院・医院で手術を行っている宮崎で数少ない整形外科医)

普段から仲良くさせていただいています。

助手として手伝っていただきながら、通常の方法(後方進入法)との違いをディスカッションでき、

有意義で楽しい時間となりました。

獅子目先生もALSを導入されるため、今回の手術見学がお役に立てば幸いです。