岡本整形外科 院長診療ブログ

当院での手術症例、手術実績、医院近況等をご紹介します。

コロナワクチン

先日コロナワクチン1回目接種のため、宮崎市郡医師会病院に行ってきました。

当院もそうですが、面会禁止となっていました。

入院中は寂しいかもしれませんが、スマートフォンのビデオ通話などをご利用ください。

 

当院から処方された痛み止めや骨粗鬆症治療薬を内服中の患者さんから、

「飲んでいるけどワクチンを受けても大丈夫か?」の確認電話がよくきます。

全く問題ありませんので、どうぞワクチンを接種してください。

アナフィラキシーショックのような稀な副反応は予想が難しいため、

万一起きてしまった場合は「運が悪かった」と思うしかありません。

接種会場は副反応に対応できる体制になっていますので、ワクチンは是非受けましょう。

電子カルテ導入

2021年3月より電子カルテを導入しました。

岡本整形外科に戻る前は、ほとんどの病院が電子カルテでしたので、特に操作は困りません。

スタッフもすぐに適応してくれました。

しかし27年前から積み上がった紙カルテは、簡単に整理できるものではありません。

この写真は今週末の宿題です。

長い方は1994年からの記録があります。

すべてスキャンするわけにもいかず、要点をサマリーにまとめていきます。

パラパラとページをめくっていくと、現在普通に通っている患者さんが、

過去に大怪我をして大手術を受けていたりと、ついつい手が止まってしまいます。

分厚すぎる紙カルテは、過去の大事なイベントがわからなくなります。

終わりがみえない作業ですが、患者さんの長い歴史を振り返る、よい機会となっています。

手術室改装中

2/21~3/7の間、手術室の改装工事を行います。

無影灯交換、酸素の中央配管、手術準備室の拡張、

手術器械の自動洗浄機導入、電子カルテ対応、床の張り替え等を行います。

医院開設時に、父が中古で購入した無影灯は引退となります。

壊れたわけではなく、十分使えるのですが、

最近のLED照明の光量、自動焦点調整機能、光量調整等には残念ながらかないません。

LED照明のメーカーさんが現場確認にきたとき、過去に取り扱っていた商品だったそうで、

「昔の資料でしかみたことがない」と、現役であることに驚かれました。

手術準備室を拡張するために、私の部屋が狭くなります。

コンクリート壁を壊す轟音の中、ブログを更新しています。

2020年手術件数

2020年(1/1~12/31)の手術件数は446件でした。

 

全身麻酔手術 348件

人工関節手術134件 (人工膝関節全置換40件 人工股関節全置換38件 人工膝関節単顆置換56件)

膝関節鏡手術(半月板部分切除・縫合・靭帯再建・滑膜切除) 97

高位脛骨骨切術 18

骨折手術 32件 

抜釘術 42件

その他 25件

 

局所麻酔手術98件

腱鞘切開術 51件

手根管解放術 21件

ガングリオン摘出術 8件

骨折手術 4件

その他 15件

 

両膝、両手同時手術は2件で数えています。

高位脛骨骨切術と同時に関節鏡手術(主に半月板部分切除)も行いますが、高位脛骨骨切術1件としています。

手関節(橈骨・尺骨)、足関節(脛骨・腓骨)は2箇所同時骨折でも骨接合、抜釘とも1件で数えています。 

腱鞘切開は2本、3本同時に行っても1件で数えています。

 

2020年はベッドが満床のことが多く、救急搬送を断ることが多かったため外傷は減りました。

部位別には、膝関連手術が人工膝関節(全置換・単顆置換)96件、膝関節鏡97件、高位脛骨骨切18件、抜釘13件で224件となり、

全手術数の過半数となりました。

年末のイベントなど

11月中旬、鵬翔高校1年性2名の手術見学がありました。

学年トップを走る、将来が楽しみな女子学生二人です。

人工膝関節全置換術を見学しました。

 

12/4 持田製薬の社内研修会の講師を行いました。

12/7〜11 宮崎医療福祉専門学校から、理学療法士を目指す学生が実習にきました。

        関節鏡手術、骨折手術を見学しました。

12/12 東京女子医大教授 岡崎賢先生をお招きして、後十字靭帯再建術を行いました。

12/28 年内の診療終了。2020年の手術件数は446件(人工関節133件)でした。

TV収録

宮崎のテレビ局であるMRTの企画番組「教えて先生!ひざのお悩み相談室」の収録に行ってきました。

人工膝関節単顆置換術(UKA)について解説しました。

当院で手術を受けた患者さんのVTR、予め診察室で撮ったVTRを交えながら番組収録が進行します。

台本は、一応流れをつかむ程度はあるものの、ゲストからの質問は何がくるか予測不能です。

なんとか撮り直しをすることなく、私の出番は終わりました。

TV番組が作られる現場を、出演者として参加できたことは貴重な経験でした。

そして、タレントの皆さんの脅威のアドリブ力に圧倒されました。

 

2020/11/29(日) 15:00~16:00放送予定です。

後十字靭帯再建術

先日、東京女子医科大学整形外科教授の岡崎賢先生を招いて

後十字靭帯(PCL)再建手術を行いました。

私は、ほとんどの膝の手術を一人で行っていますが、

この手術だけは、一人で行うことは難しいと考えています。

できなくはなくても、手術時間が長くなりすぎると術後の腫れや痛みが強くなり、

患者さんに負担をかけてしまいます。

関節鏡手術を完全にこなせる医師二人がかりで行うことで、安全確実に、短時間で

手術を終えることができます。

岡崎先生は膝関節手術のスペシャリストであり、

学会や勉強会の演者として引っ張りだこです。

手術の前後や合間に、膝関節節手術の最近のトレンドを聞けたり、

ディスカッションすることができ、良い刺激をいただけます。

社内研修会で講演

シオノギ製薬という医薬品メーカーから、社内研修会の講演を依頼されました。

このような講演は、どちらかといえば大学病院の教授や講師、総合病院の部長等が依頼されることが

多いのですが、せっかくの機会ですので演者をさせてもらいました。

久しぶりに、パワーポイントソフトを起動し、スライド作りに励みました。

 

製薬会社のMR(医薬情報担当者)ですので、全くの素人ではなく、

かといって、学会での発表相手ある整形外科医師でもないので、内容や構成は悩みました。

シオノギ製薬が扱っている慢性疼痛治療薬は、現在整形外科領域で活躍しています。

そのため、変形性膝関節症の治療を中心に、疼痛管理の考え方の変遷、術後鎮痛の方法を話すことにしました。

なかなかMRさん達が関わることがない、手術室内での出来事等を交えながら一時間講演しました。

 

ひと昔前の「大きな手術後だから痛いのは仕方がない。我慢しなさい」という考えから、

「術後に患者を痛みで苦しませるのは罪である」と、この20年ぐらいで大きく変わりました。

当院では、両膝同時の人工関節手術(もし術後疼痛ランキングがあればトップクラスの手術)でも

痛み0を目指して術後疼痛管理を行っています。

 

医師でも、一般の人でもない相手の講演という、なかなかない経験でした。

 

 

 

 

3週連続の両人工膝関節全置換術(TKA)

両膝とも悪い方の人工膝関節置換術は、体力的に問題なければ

同時手術を勧めています。

7月の土曜日午後は、3週連続の両膝同時TKA(全置換術)でした。

一週目の60代女性です。

高度な変形があります。軟骨が消失しO脚となっています。年齢、変形の程度等からTKAを選択しました。

術後のX線です。形が綺麗になっています。

術後の経過は良好で4週で退院されました。

2週目も、60代女性です。

同様に高度な変形があります。

術後のXPは、同じく綺麗な形となりました。

3週目は70台女性です。

私がクリニックに戻ってきた8年前の時点で、既に「超」がつく高度な変形でした。

右膝は(向かって左)、脛骨(すねの骨)の内側が変形しすぎて骨が一部分離しています。

歩行時に高度なスラスト(体重がかかった瞬間膝が外にぶれる)があります。

当時、手術について説明しましたが、平気だからと希望されませんでした。

人工関節の手術面談のときに必ず私が話すことがあります。

「自分自身が、もう手術するしかないと思ったときが一番のタイミングです。」

X線では「よく歩けるな・・」と思うほどの変形でも、本人が平気ならそれで良いと思います。

痛いから手術を受けるのであって、変形しているから手術をするわけではありません。

しかし、選択肢として手術があることを知らないと選ぶことができませんので、

これほどの変形があれば、必ず手術の説明をします。

その後外来で温熱療法、湿布等を処方する日々が8年間続きました。

最近は、会うたびに痛みの訴えが強くなっていましたが、遂に覚悟を決められました。

脛骨内側の骨が欠けており、安定性を高めるために、脛骨にロッド付の

人工関節を挿入しました。

両足とも形が良くなったことがわかると思います。

もちろん、歩容も各段に良くなっています。

 

3週連続両TKA後、2週連続で両UKA(部分置換)が続きました。

両膝同時は、片膝ずつより、術後2週ぐらいまでは大変です。

しかし、退院時に「片方ずつやっておけば良かった」と言われた方は

ほとんど(覚えている限り一人も)いません。

欠点は、私が少々疲れるぐらいです。

高度な変形性股関節症に対するALSTHA

60代男性のALS-THA(前側方進入-人工股関節全置換術)を行いました。

15年前に骨頭壊死症という難病になり、痛みに耐えながら仕事を続けられていました。

X線検査では、高度な変形となっており、骨頭が変形した骨盤の骨に包まれています。

当然股関節はほとんど動きません。

ALSTHAは、どんなに高度な変形でも10cm程度の皮膚切開で筋肉の狭い間から入っていきます。

皮膚切開を広げて、筋肉を一部切り離すことにより広い視野が得られる通常の後方進入と大きく違います。

これほどの高度変形の股関節の場合、ALSで関節に到達しても、「ここはどこ?」状態から始まります。

約15年と年期の入った壮年男性の堅く変形した骨と格闘すること2時間半。

余計な骨を除去し、綺麗に設置することができました。

後方進入とくらべて手間はかかりますが、極めて脱臼しにくい安心感はかけがえのないものです。