岡本整形外科 院長診療ブログ

当院での手術症例、手術実績、医院近況等をご紹介します。

人工関節周囲骨折の手術 70代女性

人工関節手術を受ける年代は、は50代から80代までの方が多いです。

術後の人生は10年から40年ぐらいまでと幅がありますが、徐々に筋力、視力など

様々な機能が衰えていくことは避けられません。

転倒により、人工関節を行なった関節周囲に骨折を起こすことがあります。

 

先日、左の人工股関節と左の人工膝関節手術を受けた70代の女性が、

転倒により左大腿骨骨折が生じたため手術治療を行いました。

人工股関節と人工膝関節の間で螺旋状に骨折しています。

通常であれば、膝関節を開けて逆行性髄内釘挿入手術を行います。

本来はそれほど難易度が高い手術ではありませんが、刺入部に膝人工関節、

固定すべき大腿骨近位に人工股関節があるため、挿入方向や髄内釘のサイズが限られ、

骨折整復が困難となります。

さらに、人工関節周囲に残存している骨が破綻した場合、

収集がつかない事態になるので、繊細な操作が要求されます。

 

強固な固定が得られたので、激痛のため身じろぎもできなかった状態から、

手術翌日には車椅子に移乗できるようになりました。

CPM(膝可動域訓練機械)を早期に開始し、関節拘縮を予防します。

X線検査で骨癒合の程度をみながら、徐々に体重をかけていき

2〜3ヶ月での退院を見込みます。